今回は「お金がないので入院費が払えない」というお悩みをお持ちの方のために、入院費用の平均はいくらくらいなのか、費用が払えなかった場合の対処方法はないか、自己負担を抑える方法はどんなことがあるかなどを詳しくご紹介してまいります。
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1日あたりの入院費用平均23,300円、入院費用総額の平均は約21万円です。
2019年に発表された「生活保障に関する調査(生命保険文化センター調べ)」によれば、1日あたりの自己負担の費用平均は23,300円、1回の入院にかかる自己負担の総額平均は約21万円となっています。
このように、一度入院するとある程度の高額な自己負担の費用が発生することがわかります。
厚生労働省の2017年患者調査によれば、退院患者の平均在院日数は29.3日とされており、退院までにおよそ1ヶ月程度の在院日数が必要となることが多いのがわかります。
手術代、薬代、検査代などの直接的な治療に必要となる医療費については、公的医療保険を利用できる場合があります。
医療費のうち、患者が支払う費用は70歳未満の成人が3割の自己負担割合となっており、残りは公的医療保険から支払われることになります。
入院基本料とは、病院が患者に対して提供を行う入院医療サービスにかかる基本的な対価のことを意味しており、具体的には1日あたりの入院にかかる基本料金のことを指します。
入金基本料は医療費と同様に公的医療保険の対象となるため、自己負担は3割となっています。
差額ベッド代とは、患者の希望で大部屋ではなく相部屋となる患者が少ない1〜4人以下の個室などの部屋に入院する場合にかかる追加費用のことで、正式名称は特別療養環境室料と呼ばれます。
基本的に、差額ベッド代は全額自己負担となりますが、この追加料金を支払ってでも個室や少人数の部屋を希望する患者は多い傾向にあります。
ただし、入院日数が長くなると差額ベッド代は高額となるため注意が必要です。
入院時にかかる食事代については、2018年4月1日以降、被保険者・被扶養者共に、負担額は1日460円を負担することになっています。
こちらの食費の金額を標準負担額と呼び、日本全国の平均的な家計でかかる食費を元にして厚生労働大臣が金額を決めています。
なお、入院時の食事代は公的医療保険の対象外となるので全額自己負担が原則ですが、指定難病患者、住民税非課税世帯、小児慢性特定疾病などの条件に当てはまる患者は標準負担額が減額されることになっています。
入院時に費用となる飲料、衣服や下着の着替え、入浴で必要となるシャンプー・石鹸・タオルなどの品物、有料テレビを視聴するための視聴カード、時間を潰すための雑誌や本、その他の日用品については、全額自己負担となります。
日用品の金額は1日あたりの金額はそれほど多くは想定されないものの、入院日数が長引くほど細かい出費がかさむため注意が必要です。
先進医療とは、特定の大学病院などで研究及び開発を行われた難病に対する新しい治療技術のことを意味しています。
先進医療は2021年8月1日時点で84種類が認められており、「第2先進医療(先進医療A)」「第3項先進医療(先進医療B)」の2種類に大きく分けられます。
この先進医療を受けようとする場合、技術料については公的医療保険の対象外となるため全額自己負担となります。
その他、先進医療を受けるために必要となる診察料、投薬費用、検査費用、入院費などに関しては公的医療保険が適用されます。
2020年6月30日時点で発表された先進医療の実績報告によれば、先進医療Aの技術料については、がんの治療で用いられている陽子線治療の平均費用が271万円程度、重粒子線治療の平均費用が312万円程度、子宮腺筋症核出術(高周波切除器使用)が30万円程度などとなっており、非常に高額となることがわかります。
高額療養費制度など、様々な自己負担を抑えるための制度があります。
高額療養費制度とは厚生労働省が提供している制度であり、医療費にかかる自己負担金額が高額になってしまった場合に、自己負担の上限を設け、それを超えると軽減を行う制度のことを意味しています。
医療費で家計が逼迫しないように、1ヶ月の上限額を超えた場合には超えた分の額を支給してもらえます。
健康保険に加入している方の場合は、いったん医療費を自己負担した後で申請を行うケースと、事前に申請を行って限度額適用認定証を受け取るケースの2種類があります。
なお、一部の健康保険組合では、高額療養費制度の申請手続きを行わなくても、自動的に給付を受けることができる場合もあるため、ご自身の健康保険組合に確認してみましょう。
限度額適用認定証とは、治療を受ける医療機関の窓口にこちらの認定証を提示することにより、窓口で支払う医療費が自己負担限度額までとなる証明のことです。
窓口での支払い金額は、自己負担費用限度額として定められている87,430円までに留めることが可能となります。
なお、限度額適用認定証は70歳未満の方に交付される認定証であり、70歳以上75歳未満の方は高齢受給者証が代わりの役割を果たします。75歳以上の場合には、保険証が代わりの役割となります。
傷病手当金とは、健康保険の被保険者が病気・怪我などを理由に働くことが困難となり、事業主から十分な報酬を受け取ることが難しくなった場合に支給される手当のことです。
病気や怪我によって休業を余儀なくされた被保険者及び家族の暮らしを保障するための制度であると言えます。
申請を行うことにより、1日あたりの平均収入のうち2/3が補填されるため、もしもの時に頼れる制度として健康保険の被保険者の方は積極的に利用を検討すると良いでしょう。
ただし、支給を受けるためには「連続する3日間を含んで4日以上仕事につけなかったこと」など、いくつかの支給条件を満たさなければならないため注意が必要です。
付加給付制度とは、大手企業などの健康保険組合が独自に提供を行っている給付のことを意味しています。
1ヶ月の間に1つの医療機関で高額の医療費が発生した場合、1ヶ月の医療費の限度額が定められており、限度額を超過した分を払い戻してくれる場合があります。
医療費控除とは、所得税や個人住民税を支払っている場合、自分や家族のために支払った医療費に応じて、所得控除や物的控除を受けることができる制度のことを意味しています。
具体的には、1年間にかかった医療費が一定額(一般的には10万円)を超えた場合に控除を受けることができる制度のことです。
病院や家族に相談するなど、別の対処方法を検討する必要があります。
入院費などの医療費を支払うことが難しい場合には、まずは病院に相談してみることをおすすめします。
病院には費用について相談することができる窓口が用意されており、医療ソーシャルワーカーなどの入院費用の相談にのってくれる職員が存在しています。
場合によっては、入院費が安く済むような対策を一緒に考案してくれたり、予算内で対応可能な治療プランを組んでくれたりすることがあります。
また、請求が実際に発生した後に払えない状態になるよりも予め相談しておいた方が、病院側が抱く印象も良くなることでしょう。
病院によっては入院費などの費用を分割払いで対応してくれる場合もあります。
そのため、月々の分割払いであれば自己負担することが可能である方は医療ソーシャルワーカーに相談してみることがおすすめです。
ただし、入院費が高額となった場合には分割払いの月々の負担分も大きくなることが想定されるため、何回払いまで対応しているのかは必ず確認するようにしましょう。
入院費などの医療費で払いきれない金額が発生した場合には、両親や子供などの家族に相談を行って立て替えをしてもらうことも検討しましょう。
ただし、突然の高額の医療費立て替えは家族にも想定外の負担となってしまうため、大きな病気をした場合の協力体制を事前に相談しておくことが重要です。
高額な医療費が発生した場合、一時的に不足する分を補うためにキャッシングやカードローンを利用する手段もあります。
お手持ちのクレジットカードやカードローンを使って、銀行のATMやコンビニ、インターネットなどを介してお金の借入れを行うことができます。
キャッシングやカードローンは急な出費が発生した場合、現金や口座振込が必要となった際に役立つ方法ではあります。
ただし、キャッシングやカードローンを利用する際には返済の見通しがしっかりと立っていることが大前提となります。
また、入院費は症状の改善が長引くとそれだけ費用も継続的にかかるため、キャッシングやカードローンで対応できるのは短期的な入院に限るとも言えるでしょう。
いずれにせよ、医療費の補填のためにキャッシングやカードローンを利用する場合は慎重に検討するようにしてください。
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最終的には訴訟となるケースもあるため、支払いは必ず行いましょう。
期限までに入院費を支払わなかった場合には、まず病院から電話がかかってきて費用を支払うように催告がなされます。
先ほどもお伝えした通り、病院には医療ソーシャルワーカーが常駐して支払い相談を受けているケースが多いため、催告がなされる前に事前に病院に相談して分割払いなどの支払い対応を検討することをおすすめします。
病院からの再三の催告に従わない場合には督促状が届きます。
督促状とはお金の返済を促すための書面のことであり、返済を期日までに完了することも求める旨が記載されています。
内容証明が送られてきたり、場合によっては病院の職員が自宅に直接尋ねてきたりして督促されるケースもあります。
督促が実施されても支払いができないとなると、状況はどんどん悪化していきます。
そのため、督促を無視することなく必ず病院と協議し、どうすれば支払いを完了できるかを決めておく必要があります。
保証人とは、入院する患者の身元を保証し、何かあった場合に様々な役目を担う緊急連絡先として病院に届け出る人物のことを意味しています。
督促状が届いても本人が支払いを行わない場合には「入院した本人に支払いを行う能力がない」と判断され、身元保証人に連絡が入り、保証人となっている方に入院費用が督促されることになります。
督促が行われても入院費用が支払われない場合には、本人や保証人への連絡は病院の担当者ではなく、弁護士が行うようになります。
再三の督促にもかかわらず支払いに応じないとなると、民事調停などで裁判所が介入して支払いを行うように手続きが実施されていきます。
それでも支払いに応じない場合には、最悪のケースだと病院から訴えられて民事訴訟に発展してしまう可能性があります。
最終的には、差し押さえなどの強制執行の手続きが取られて対応せざるを得なくなります。
このように、入院費の支払いに応じないと状況は悪化の一途を辿るため、早い段階で支払いを行う段取りを立てることが重要です。
具体的な返済計画をしっかりと立てておくことが重要です。
入院費を家族や子供などの身近な人に立て替えてもらった場合には、いつまでに費用を支払うことができるのか、返済計画を具体的に立てることが重要です。
支払い期限を曖昧にして対応しない場合には信頼を失ってしまい、最悪のケースでは民事訴訟などの争いにまで発展することも考えられます。
そのようなことにならないように、事前に家族や子供との間で相談を行っておき、万が一の高額な入院費の発生にどのように対応するかを決めておくとトラブルを避けることができるでしょう。
家族や子供に入院費の立て替えをしてもらうことが難しい場合には、キャッシングやカードローンなどのその他の手段で支払いを対応することも検討する必要が出てきます。
しかし、その際には必ず現実的な返済プランを立てておく必要があります。
キャッシング・カードローンは一時的に費用が不足した場合の補填手段として便利ではあります。
しかし、先にも述べた通りキャッシングやカードローンを利用して費用補填することができるのは短期的な入院に限ると言えるでしょう。
また、万が一キャッシングやカードローンを利用したにもかからず返済遅延をしてしまうと信用情報に傷がついてそれ以降の借入れを受けることが難しくなってしまう可能性もあります。
このような理由から、入院費の補填にキャッシングやカードローンの利用するのは最終手段であると心得て、活用する際には必ず綿密な返済計画を練って対応するようにしてください。
今回は、入院費用の平均、入院費が払えなかった場合の対処方法、自己負担を抑える方法などのお金がないので入院費が払えない場合に知っておきたい基礎知識をお伝えしてきました。
ご紹介してきた通り、入院費については家族や子供に立て替えてもらったり、キャッシングやカードローンなどの方法で補填したりする方法も考えられますが、返済遅延や未払いはその後の信用失墜に関わるため、必ず事前に相談して問題にならないように対策を講じておくようにしましょう。
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