今回はリースバックを検討されている方に向けて、リースバックの概要やメリット・デメリット、リースバックとリバースモーゲージの違い、実際にあったトラブル事例などを詳しく解説していきます。
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自宅を売却して現金化した後、賃貸物件としてそのまま住み続けられるサービスです。
リースバックとは、住んでいる自宅を売却し、その後は賃貸物件として買主から賃借して住み続けることができる不動産売却の方法で、セール・アンド・リースバックとも呼ばれています。
いわば、不動産売買と賃貸借契約がワンセットになっている仕組みです。
自宅を現金化して資金調達を行いつつ、売却した後も賃貸物件として利用することができ、資金化するまでのスピードも一般的な売却よりも早い特徴があります。
リースバックの契約の内容次第では、自宅を買い戻すことも可能となっています。
リースバックを行う事業者に相談を行った後、まずは物件査定に入ります。
事業者から提示された買取価格を確認して同意したら、売買契約を締結し、売却した自宅の所有権は買主となる事業者に移転することになります。
売買契約が完了したら、定期借家契約を事業者と締結します。基本的には、2年程度の契約満了時に更新・再契約を行う流れとなります。
なお、再売買予約権と呼ばれる、買い戻したいときに改めて売買契約を締結することができる権利をつけて契約ができる場合もあります。
リースバックでは、一般的に申込みから2週間〜1ヶ月程度で売却した金額を手に入れることができます。
リースバックを利用する人が増えている背景としては、住宅ローンを借入れする年齢が高齢化していることが挙げられます。
さらに、2000年頃から始まっている平均給与の減少傾向や、高齢無職世帯の貯蓄残高の減少なども理由として考えられるでしょう。
また今後、新型コロナウイルスの流行による日本全体の収入減少がさらなる打撃を家計に与える可能性は大きいです。
このような状況により、自宅を活用して老後資金を調達することができるリースバックは注目されています。
住宅ローンを組んだものの、高齢であるためにその後の返済が負担となっている方や、老後の生活資金が足りないために今すぐにまとまったお金が必要な方、子供のために早めに相続対策をしておきたい方、単身世帯であるために早めに資産整理をしたい方などにリースバックはおすすめだと言えるでしょう。
資金調達後も自宅に住み続けられるほか、さまざまなメリットがあります。
一般的な売却であれば、売ってしまった後の家に住み続けることは不可能です。
しかし、リースバックであれば売却後も住み慣れた自宅を賃貸物件として利用し続けることができます。
「自宅を売却して資金調達をしたいけれど、同じ家に住み続けたい」と考えている方にとって大きなメリットだと言えるでしょう。
自宅を所有していると固定資産税がかかります。老朽化が進んだ場合には修繕するための復旧リフォーム費用がかかるほか、災害が起こった際の修復費用なども大きな出費となります。
その点、リースバックを行えば、所有権の移転と共に事業者へ管理の義務も移転するのでこれらの費用がかかる心配がなくなります。
買い戻しを行うことができる契約を事前にしていれば、資金が用意できた段階で再度自宅を事業者から買い戻すことも可能です。
自宅を売却して一時的に資金を手に入れ、キャッシュフローが安定したらまた買い戻したいという方にはメリットがあります。
ただし、買い戻しの特約をしていたとしても数ヶ月の賃料滞納などの問題があると権利を消失する場合があるので注意が必要です。
なお、買い戻しに必要となる価格については、当初の売却金額の一定割合または買い戻しする時点での市場価格とのバランスを見て決定されます。
リースバックは申込みと契約を行った後、自宅の査定を行い、申込みから2週間〜1ヶ月前後の短期間ですぐに現金が受け取れるメリットがあります。
また、売却で手に入った資金については使途制限がないため、自由に取り扱うことができる点もメリットだと言えるでしょう。
老後資金が不足していてなるべく早く資金調達を行いたい場合や、遺産相続に備えて自宅を早めに現金化しておきたい場合などに便利です。
リースバックを利用して自宅を売却したとしても、そのまま賃貸物件として住み続けることができるため、自宅を売った事実を近所の人達に知られることがない点もメリットです。
自宅を売却して資金調達をしたいけれど、お金に困っていることを近所の人達に知られたくないという方にも、リースバックはおすすめだと言えます。
売却価格が周辺相場より安くなるなど、いくつかのデメリットがあります。
リースバックを利用すると、通常の売却と比べて周辺相場よりも売却価格が安くなるデメリットがあります。
リースバックを提供する事業者側が買い戻しに応じるために自由に売買できない制約を受けていたり、家賃滞納リスクに備えたりする必要があるためです。
リースバックを利用すれば引っ越しの手間や費用がかからないため、その分で必要だった金額も鑑みてリースバックを利用するメリットがデメリットを上回っているかを確認する必要があることを覚えておきましょう。
リースバックで提示される家賃は、周辺相場に合わせるのではなく不動産の売却金額などが考慮されて個別に決まります。
そのため、住宅ローン残高を多く残している物件や、競売にかかっている物件などについては家賃が相場よりも高くなる傾向があるので注意しましょう。
また、リースバックでは売却金額と家賃がトレードオフの関係となっており、仮に高い金額で売却が成功したとした場合は家賃も高くなる可能性があります。
リースバックを行った物件を再び買い戻す場合には、通常の相場よりもかかる費用が高くなるデメリットがあります。
リースバックの事業者によりますが、一般的には売却額に対して1.1〜1.3倍程度の費用が上乗せされることが多くなっています。
これは、事業者が自宅を購入する際に支払った諸経費と利益分の金額を上乗せするためです。
リースバックで自宅を売却した後は、賃貸借契約をすることになるので家賃が発生することになります。
これまではかからなかった家賃分が家計の負担となるデメリットがあるため、家賃の支払いを続けられるかどうかは事前に検討してからリースバックを行うようにしましょう。
リースバックで締結される賃貸借契約は、一般的に2年程度の定期借家契約となることが多いです。
賃貸契約期間が定められている定期借家契約では、貸主となる事業者側に正当事由がなくとも、借主に退去を強制することもできます。
そのため、「最低2〜4年くらいは自宅に住みたい」と事業者側に伝えていたとしても、事業者の都合によって希望の賃貸期間よりも短い間に引っ越しを迫られるデメリットがあります。
家賃を払えなくなる、相続人ともめる、などのトラブルが考えられます。
リースバックの家賃は前出の通り、周辺相場と比べると割高となることが多いです。
さらに、事業者側が家賃の引き上げを行うケースもあり得ます。
そのため、借主が家賃を払いきれなくなってしまうとトラブルが起こる可能性があります。
家賃を数ヶ月分滞納してしまうと、もし自宅を買い戻しができる特約を定めていたとしても解消されてしまう可能性が高いほか、定期借家契約であるため事業者側の都合で退去を迫られる場合もあるので注意が必要です。
遺産相続を考える場合、自宅を物件のままにしておくよりも現金化しておく方が相続の分配を決めやすいため、リースバックを利用する方もいます。
しかし、リースバックを行う場合には必ず相続人に事前に伝えるようにしましょう。
万が一、相続人となる親族に相談することなくリースバックの手続きを進めてしまうと、自宅を当然相続できると思い込んでいた相続人と意見が食い違ってもめる可能性があります。
どうしてもリースバックを利用しなければならない場合は、相続人が自宅を買い戻すことができるような契約内容にしておくことも重要です。
貸主となる事業者と借主が結ぶ定期借家契約では、前出の通り正当事由がなくとも貸主側の都合で借主に引っ越しを迫ることができます。
そのため、リースバックを行った自宅に賃貸借契約を結んで居住をしていたとしても、貸主である事業者が家を売却してしまった場合には借主が引っ越しを行わなければならなくなります。
このようなトラブルを避けたい場合には「賃貸借契約を結んでいる間は勝手に売却を行わない」という約束を契約時に結んでおくと良いでしょう。
買い戻しを行う際には、前出の通りリースバックは周辺相場よりも高くなるケースが多いです。
そのため、買い戻したくても再度自宅を購入する金額が高くて、買い戻しが不可能となる場合もあります。
買い戻しを検討する場合にはいくらで購入し直すことができるのかを事前に確認し、しっかりと準備をしておくことが大切になります。
賃貸契約期間が定められている定期借家契約の場合、借主が再契約する意思を持っていたとしても、貸主の都合で再契約を断られてしまう可能性があります。
定期借家契約を結ぶ以上、自宅をどのように扱うかを決める権利は貸主である事業者側にあるため、リースバックを行う場合には自宅に恒久的に住み続けることは難しい可能性があることを事前に頭に入れておく必要があると言えるでしょう。
耐震化費用を求められたトラブル事例や、共同資産に関するトラブルなどが見られます。
Aさんのケースでは、リースバックを依頼した事業者から2,000万円の支払い調書の契約を持ちかけられて承諾しました。
しかし、契約時に振り込まれた金額は1,800万円となっており不動産屋に確認したところ「耐震工事を行うため、耐震化費用として100万円、残りの100万円は退去時に支払います」と連絡が来たそうです。
Aさんの自宅は、もともと耐震化している物件であり、重複して耐震化費用を差し引かれたことが不必要ではないかとしてトラブルに発展してしまったとのことです。
支払い調書の内訳については事前に確認し、不要な費用を差し引かれないように確認することが重要となります。
(https://www.bengo4.com/相談者の声を参照)
Bさんは妻と共同資産となっている自宅を競売にかけることになり、リースバックすることにしました。
このとき、自分の持ち分である4/5が落札されたため、Bさんとしては妻の持ち分である1/5は残しておきたいと考えていました。
しかし、妻の分である1/5も売却するように事業者から求められ、応じない場合は共有持分分割訴訟にかけると言われてトラブルに発展したとのことです。
共同資産をリースバックすると権利関係が複雑になり、トラブルに発展するケースが多いので注意が必要となります。
(https://yourbengo.jp/相談者の声参照)
自宅を売却するのか、自宅を担保に融資を受けるのか、所有権の移転に大きな違いがあります。
リースバックとは、自宅の売却と賃貸借契約を組み合わせた不動産取引となっています。
リースバックの契約が成立して売却が完了すると、物件を所有する権利が売り主から事業者に移転します。
その後も売り主は事業者と賃貸借契約を結び、賃貸物件として自宅に住み続けることが可能となります。
一方、リバースモーゲージは自宅を担保として融資を受ける金融商品のことを意味しています。
そのため、リースバックとは違い、リバースモーゲージでは所有権は物件の持ち主側に残ります。
自宅を担保に融資を受けた後は、毎月利息のみを返済し、契約者が死亡した際に担保となっている自宅を売却して利益を返済に充てるか、相続人による一括弁済で完済します。
住宅ローンの返済が負担であるものの、転居することが難しく、物件に住み続けたいという人にリースバックは向いています。
その他、老後のための生活資金や事業資金を早めに調達したい方、遺産相続の準備をするために持ち家を予め現金に換算しておきたい方、所有者を持っていない側が離婚したものの物件に住み続けたい方、借金返済のための資金を早く作りたい方などもリースバックに向いていると言えるでしょう。
持ち家はあるものの老後資金に不安がある方や、自宅を遺産として残す必要がある相続人がいない方、将来は老人ホームなどの高齢者住宅への入居を検討している方、住宅ローンの返済に関する負担をなるべく減らしたい方などがリバースモーゲージに向いています。
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その他の資産調達の方法は、車のリースバックや親子間売買などがあります。
リースバックには、自宅を売却する方法のほかにマイカーを売却する自動車リースバックが存在します。
所有する車を事業者に時価で売却して資金を調達し、その後もリース契約に切り替えて乗り続けることができるサービスとなっています。
所有権が事業者に移るため、車検などのメンテナンスの諸経費や管理費がかからなくなるメリットもあります。
車を所有している場合で高額な資金調達が必要ではないケースなら、自宅をリースバックする前にマイカーをリースバックすることを検討してみても良いでしょう。
親子間売買とは、個人間売買の一種であり、親族間で不動産を売買することです。
親子間売買のメリットとしては、契約が成立すれば自宅が相続財産にならないため、相続税がかからないことが挙げられます。
不動産は均等に分けることが難しい資産です。そのため、親子間売買によって整理することができれば、無駄な税金を支払わずに済む可能性があります。
リースバックで遺産相続に備えようとお考えの方は、親子間売買の選択肢も視野に入れておくと良いでしょう。
今回の記事では、リースバックを検討されている方に向けて、リースバックの概要やメリット・デメリット、リースバックとリバースモーゲージの違い、実際にあったトラブル事例などをお伝えしてまいりました。
リースバックは自宅に住みながら物件を売却して資金調達ができる方法で、自宅を元手に資金を獲得したい方にはおすすめの方法であるといえます。興味のある方は検討してみてはいかがでしょうか。
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